「浸かる」と「飲む」では異なる効能
城崎温泉の泉質は、ナトリウム・カルシウム-塩化物泉。効能としては、きりきず、皮膚乾燥症、筋肉若しくは関節の慢性的な痛みやこわばり、運動麻痺における筋肉のこわばり、冷え性、末梢循環障害、胃腸機能の低下、痔痛、自律神経不安定症、ストレスの諸症状、病後回復期、疲労回復、健康増進などが挙げられ、「飲泉」の場合は萎縮性胃炎、便秘の改善効果が期待されるとされています。
飲泉は「たくさん飲めば効果がある」というものでもなく、1回につき100ml~150ml程度とし、1日の総量は200ml~500mlまでを目安に。食事の30分程度前に行うのが望ましく、専門知識を有する医師の指導下以外では15歳以下の飲泉は避けた方がいいとのこと。「良薬口に苦し」という言葉がありますが、城崎温泉の温泉水は塩気と渋みを感じる濃いミネラルウォーターのような独特の味で、好き嫌いが分かれるかもしれません。
温泉街に点在する3カ所の飲泉所
JR城崎温泉駅を出てすぐの場所にある飲泉場。旅のはじまり、もしくは旅の最後に温泉の効能を体の中へ取り入れてみるのも、温泉旅にふさわしいかもしれません。
外湯「一の湯」の前に位置する飲泉場。温泉街の中心部に位置するため、湯めぐり途中に飲泉で水分補給をしてみても。
城崎温泉の守護寺「温泉寺」の境内、薬師堂のすぐ前にある飲泉場。温泉寺は、城崎温泉を開いた道智上人により開創され、以来1300年以上城崎温泉とその入湯客を見守る山陰の名刹です。かつて城崎温泉に入湯の湯治客は先ず、温泉寺の道智上人の霊前に参拝して湯杓を授かり、住職より「古式入湯作法」を教わってからでなければ温泉に入ることができなかったと言い伝えられています。飲泉前にぜひ温泉寺へ参拝してみましょう。
城崎温泉の源泉は約57度。気温や天候によって温度は上下するものの、飲泉所の湯口から出る温泉を触る際には注意が必要です。また、現在は感染症拡大防止の観点から各飲泉所に飲泉用の容器(湯のみなど)が用意されていないため、飲泉を希望する場合はタンブラーやマイカップを持参してください(なお、温泉水の飲用目的の持ち帰りは禁止されています)。