歴史文化を感じる

日本最古級の木造市場で食・人と触れ合う【ふれあい公設市場】

木造市場で公設市場としては、日本の中でも最古級となっている豊岡市のふれあい公設市場。
アーケード内には、入口の花屋からはじまり、八百屋と惣菜店、自家焙煎のカフェ、写真館、細い路地を挟んで、揚げ物屋、割烹、BAR、居酒屋、食堂&ゲストハウス、菓子屋、蕎麦屋、うなぎ屋、薬局と令和になった今も14軒もの店舗が営業中です。公設市場で豊岡のローカルのように買い物してみませんか?雨や雪の日でも、傘なしで歩けます!

 

豊岡市民に親しまれる公設市場

JR豊岡駅から東に伸びる商店街をまっすぐ歩くと、駅前のショッピングビルからはじまり、喫茶店やブティックが軒を連ねる豊岡駅前通商店街は、昭和の活気ある時代を思い出させるレトロ建築が並びます

駅前通り商店街を5分程度歩くと、右手にお花屋さんが見えてきます。屋根付きの広い歩道を5分ほど進むと、樹木が並ぶ入口から不思議なトンネルが伸びています。ここは「ふれあい公設市場」。一歩足を踏み入れると駅前通りの喧騒が穏やかになり、天窓からこぼれる明かりが石畳を照らしています。

トンネルかと思いきや、見上げると木造の屋根組が美しいアーケードが続いており、入口に並んだ看板たちから様々な商店が並んでいることが伺えます。

地震からの復興とともにできた公設市場

ふれあい公設市場ができたのは、今から約100年前
大正14年(1925)に、現在の城崎町海側を震源として、豊岡市で大地震が発生しました。その復興のため、当時計画中だった近代化構想のもと、現在も残る復興建築群とともに作られたのが、前身となる「豊岡公設市場」です。災害後の混乱期においても食の安全と公正な取引を提供できる場として、点在していた商店を市場として集約し、それから約100年にわたって豊岡に暮らす人々の台所を支えてきました。

 

現存する日本で最も古い木造市場といわれ、平成の大改修で「ふれあい公設市場」に改名されました。京都の町家風建築や石畳の意匠を取り入れことで、昔ながらの商いの場所に情緒豊かな風情がプラスされました。5月には市場の店舗さんのご厚意でアーケード内にこいのぼりが並び、多くの写真愛好家が撮影に訪れるなど写真スポットにもなっています。

もりめ食堂の魯肉飯(ルーローハン)

公設市場のおすすめグルメ

豊岡市の台所として親しまれるふれあい公設市場は、気軽に食事やテイクアウトが楽しめます。

うな幸」は豊岡に一軒だけのウナギ専門店。直火でふっくらと焼き上げられたウナギの香りが市場内にひろがります。夏だけでなく、冬でもお客様が絶えない人気店です。ウナギだけでなく、出し巻き、う巻きが絶品!持ち帰りもできるので、帰りの電車内で車窓を眺めながらいただくのにもってこいです。

「大門」では、そばランチの定食がおすすめ!お店のウィンドウからは、毎朝石臼引きのそば粉を使った蕎麦打ちが見え、出石そばのスタイル『ひきたて』『うちたて』『湯がきたて』の「三たて」を貫くお蕎麦を楽しむことができます。ランチには季節ごとにかわっていくさっくりの天ぷら、笹巻きのおこわもついてくるのでおいしくおなかいっぱいです。土曜日は行列ができることもしばしばなので、予約をおすすめします。

ちょっとおかずが一品欲しい!地元の人にとってお昼や夕方にありがたいのが、八百屋の「ますや」。野菜の販売はもちろんのこと、お総菜のおかずの量り売りもされています。食べたい分だけ買える貴重なお店です。個人的に大好きなのは、だしがしみしみの焼き豆腐。ほんのりあまく、そのままでもおいしくいただけます。

ほっと一息に嬉しいお店が「カミノコーヒー」。自家焙煎豆を使用した丁寧なハンドドリップコーヒーやオリジナルのフロートなどドリンクが充実しています。季節のフルーツをたっぷり使ったパフェや、ギフトにもぴったりの焼き菓子を目当てに、開店からできる行列が市場の名物にもなるほど人気のお店です。ちょっと小腹がすいてるときは、コーヒーとの相性抜群でさっくり香ばしいスコーンがおすすめです。

夜ごはんは、豊岡に来たら食べたい新鮮な海鮮を楽しめるお店「紀の川」、「あまの」の2店。「紀の川」は大ボリュームがうれしいコース料理、「あまの」はその日の仕入ごとに厳選した素材を使ったアラカルト料理をいただけます。夜カフェには「もりめ食堂」。台湾の定番飯・魯肉飯(ルーローハン)が名物で、併設のゲストハウスに泊まる国内外お客様や豊岡ローカルの人々との会話がはずみ、旅情緒を楽しめます。さらに夜が更けると、「BARアニージョ」でおいしいお酒をいただけます。落ち着いた雰囲気に時を忘れてしまいます。

行商のためのあおぞら市場

市場をぬけた南側には、また別の市場が表れます。鉄製の枠組みと屋根、タープの庇でできた「あおぞら市場」は、店舗をもたない行商さんたちのためにできた市場で、公設市場とともに地元の人だちの食を支えてきました。

いまでも周辺の地元住民のみなさんで管理していて、朝7時ごろから11時までの午前中に、おばちゃんたちがおしゃべりしながら野菜を露店にならべています。お店ではお目にかかれないとれたての山菜や、手作りのお漬物などとともに、おばちゃんたちとの会話も楽しめる、ローカル好きにはぜひ訪れてほしい場所の一つです。

ふれあい公設市場を中心に、近隣には、市役所や昔ながらの銭湯、ランチのおいしい割烹、地元で日常のお土産として人気の今川焼屋さん、飲み歩きにもぴったりな一大スナック街もあり、昔が今に残る懐かしい日常が垣間見えます。

時の流れとともに形を変えながら、地元の人々に愛される「ふれあい公設市場」。100年つづく木造市場を拠点にローカル目線でゆっくりと巡り歩いてみませんか。

「歴史文化を感じる」スポットの楽しみ方

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