アートに触れる

川辺にある劇場でドキドキ! ワクワク!の臨場感を満喫【江原河畔劇場】

兵庫県豊岡市日高町江原にある江原河畔(かはん)劇場は、世界で勝負できる演劇の作品づくりとその演劇を用いた地域の文化拠点施設として誕生しました。

同施設は、劇作家・演出家の平田オリザ氏が率いる劇団「青年団」の団員が出演する本格的な舞台演劇が楽しめる場所です。

初めて演劇を観るという方も知識は不要です!入場したらその場の雰囲気にただ身を任せてみましょう。劇特有の緊張感やリズミカルなシーンの変化が、あなたを物語の世界へと連れて行ってくれます。

「江原河畔劇場」はどんなところ?訪れる時期のおすすめもご紹介

レンガ調の建築が印象的な同劇場は、JR江原駅から徒歩約5分のところにあります。
もともと昭和初期に日高町役場として建築され、中期には日高町商工会館、2005年(平成17年)から2019年(平成31年)3月初旬までは豊岡市商工会として長年地域に親しまれてきた木造2階建建築です。

2020年(令和元年)に「江原河畔劇場」としてリニューアルし、劇団「青年団」の本拠地となった同劇場は、改築にともない趣のあるモダンな外観はそのままに、1階には約120席ほどの小劇場、2階には稽古やワークショップなどができるスタジオを設置。

地域にとって馴染みのある建物や風景といった資源が大切に生かされ、いろんな人の思いを乗せた劇場として生まれ変わりました。

商工会館時代の名残は、施設の外観だけでなく内部にも一部残っています。稽古場やワークショップが行えるスタジオのある2階には、昔から使われてきたドアが活用されています。

劇場1階のロビーからは、大きな窓から穏やかに流れる円山川を一望することができます。“ちょっと早く着きすぎたな”という時や、“少し休憩したいな”という時に、丁度いい空間になっていますよ。

「実際に公演を観てみたい!」という方は毎年9月中旬に豊岡市を中心に開催される「豊岡演劇祭」の時期がおすすめです。

「江原河畔劇場」も公演会場の一つになっている同イベントでは、演劇の力をまちづくりに生かすことを目的に2020年(令和3年)に本格的に始まりました。
劇場やホール以外に広場、公園、神社の境内といったまちの至る所が公演の舞台として活用され、演劇の他にも大道芸、ストリートパフォーマンス、ナイトマーケットなどが開催されるイベントとなっています。

青年団『ヤルタ会談』©︎igaki photo studio

あなたも物語の目撃者?登場人物たちと今この瞬間を楽しもう。

東京から「江原河畔劇場」へ本拠地を移した劇団「青年団」は、1982年(昭和57年)平田オリザ氏を中心に結成された劇団です。

「青年団」は、従来の日本演劇は西洋的な理論のもと台本造りが行われていたのではないか、という独自観点をもとに新しい演劇様式を創造してきました。

平田氏の提唱する新しい演劇様式は、台本内のセリフに「〜ですわ」「〜だわ」といった日本人の私たちにあまり馴染みのない言い回しの語尾があったり、会場全体に向けて大きな声を出したりと演技のためにオーバーな表現を行う古典的な西洋演劇ではありません。
私たちに馴染みのある日本語と日本人の生活様式をベースにした舞台演劇が楽しめるのが特徴で、特に人が生きる世界の複雑で豊かな日常を描かく作品が多いです。

青年団『ソウル市民』(作・演出:平田オリザ)

例えば役者さんたちに注目してみてください。
舞台では日常会話のような話し言葉調のセリフが一人からではなく、複数の人から飛び交います。その時の声のトーンは大きい声の時もあれば、聞き取れないくらい小さい声の時もあります。
そして相手の発言や起きた出来事に対して「ぶふふっ」と笑ったり、背中を向けて戸惑いを表したりする細やかな演技を観ることができます。

まるで本の世界から飛びだしてきた登場人物たちが、現実に現れ同じ空間で同じ時を過ごしている。または暮らしぶりを目撃している気分になります。

「江原河畔劇場」で公演される演劇には、ささやかでありながらじわじわとあなたを夢中にさせてくれるおもしろさがあります。

同施設では公演が行われていない時期には、誰でも気軽に立ち寄り施設見学をすることも可能になっていますので、カフェに行く感覚で気軽に訪れてみてください。

「アートに触れる」スポットの楽しみ方

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