温泉街からすぐそこにある豊かな自然スポット
「ハチゴロウの戸島湿地」は豊かな自然の中にあります。まずは観察小屋に身を隠して、湿地を眺めてみましょう。午前中はコウノトリが活動的なので飛んでいる姿を見られるかもしれません。観察小屋の周りの水辺にも様々な生き物がいます。季節によってはオタマジャクシが元気に泳ぐ姿も見られます。
柵に沿って湿地を一周してみましょう。足を進めていくと、コウノトリやサギが、のどかにランチをしているかも。
空と太陽、山と湿地、田んぼのコントラスト、そこに生きるコウノトリが、とても美しいです。ゆっくりと歩みを進めながら、時間を忘れて、美味しい空気を胸いっぱいに吸い込んでみましょう。
春には、コウノトリが巣塔で巣作りをしていたり、子育てシーズンにはヒナにエサを運ぶ様子をみることもできます。また夏になると群生するヨシなどが広がり、コウノトリと湿地は一層鮮やかに水辺世界を作ります。
たくさんの生き物が共に生きていることを感じつつ歩くと、地球の恵みへの感謝が生まれ、幸せな気持ちになります。日常から離れて、自然の一部になったような感覚を堪能できるでしょう。
湿地で誕生したカップルコウノトリ
日本では明治~戦後の高度経済成長とともに、自然環境が壊されたことで、一度は絶滅してしまったコウノトリですが、野生最後の集団は、この豊岡市にいました。そのため、豊岡の人々はその後もあきらめず、海外からコウノトリを迎え、人工飼育で大切に守ってきました。2005年に最初の5羽が放鳥されました。
2008年にはこの戸島湿地の造成工事が始まりました。そこへペアのコウノトリがやって来て、人工巣塔に巣作りを始めました。放鳥後、2組目のカップル誕生です♡工事は一旦ストップ。どうか無事に生まれますようにと、みんなで見守り、そして待望の可愛いヒナが生まれました!
ハチゴロウの戸島湿地では、その後も多くのヒナ(なんと32羽!)が誕生し、巣立ちをしていきました。運が良ければコウノトリのカップルに会えるかもしれません。
ハチゴロウの戸島湿地とは
「ハチゴロウ」とは、2002年に大陸から舞い降りた野生のコウノトリの名前です。8月5日にやって来たのでハチゴロウという愛称になりました。それはもう大人も子供もハチゴロウに夢中になり、学校の授業も中断して見物するほどでした。
そのハチゴロウが好んだ場所が戸島の湿地です。戦後の近代化が進む中で、豊岡でも耕地整理が進んでいましたが、ここだけまだ湿地のまま残っていたのです。予定していた耕地整理を見直し、この湿地の半分は田んぼにしないで湿地にしておくことにしました。この貴重な土地を立派な湿地にするために、たくさんの人が知恵を絞って考え、今の戸島湿地を作りました。
残念ながら、ハチゴロウは戸島湿地の造成工事が完了する前に、山中で亡くなってしまったのですが、コウノトリが好む環境や、大切に守らなければならないものは何なのかを教えてくれたハチゴロウに感謝して、この湿地の名称にハチゴロウの名前を付けることにしました。こうして「ハチゴロウの戸島湿地」が2009年4月にオープンしました。
心ゆくまで堪能したあとは、コーヒータイム
湿地の隣には古民家カフェ「Café Lamp eye」がありますので、しばし余韻に浸りながら美味しいランチやスイーツはいかがでしょう。
天気の良い休日には、ぜひ「ハチゴロウの戸島湿地」へお散歩に出かけてみてくださいね!