“にゃんこ”と和尚
「但馬安國禅寺のドウダンツツジ」を一躍全国に名を轟かせたのは、その絵画のような美しさはもとより、“にゃんこ”と閑栖和尚(かんせいおしょう)の一枚の萌え写真なのです。
“にゃんこ”の名前は「きんた君」。とても人懐っこい“にゃんこ”で、拝観された方々の要望にも応え、撮影時には快く最高のポージングで被写体になってくれていました。まさにスーパーモデル“にゃんこ”です!
実は、最も有名な“にゃんこ”と閑栖和尚の写真で、和尚が手に持っているのは“味付けのり!”
最良の写真を撮るには「きんた君」の大好物“味付けのり”で誘惑するのが抜群に効果的だったとか(笑)。
残念ながら「きんた君」は、2015年に亡くなりました。
現在は「はく君」が寺猫を引継いでいますが、とても恥ずかしがり屋さんで、閑栖和尚の言う事を全く聞いてくれず、“味付けのり”にも興味はないとのことで、一緒に写真に写ってくれないそうです。
真言宗から禅寺へ
さて、少し「但馬安國禅寺」の歴史を。
ここは歴史の物語がある寺なのです。「但馬安國禅寺」は、鎌倉時代後期、無本覚心(法灯国師)によって開山され、1345年に足利尊氏(あしかがたかうじ)が夢窓疎石(むそうそせき)の勧めによって全国に建立した安国寺の1つです。後醍醐天皇をはじめとする南朝戦没者の菩提を弔うために安国寺と改称し、その際に真言宗から禅宗に改宗した寺なのです。当時の安国寺は、いまの安国寺公園(夏つばきの里)にあり、1717年に火災で焼失し、その後すぐに現在の地で再興が図られました。
初夏には「夏つばき」も!
旧安国寺跡地には「夏つばき」が群生しており、初夏には可憐な真っ白な花を咲かせます。
数十本の大きな木のほかに、実が落ちて生えた若いものまで含めると、1000本はあるのではないかと言われています。初夏に、次々と白い花を開かせる、派手さはなく、清楚でひそやかな、はかない一日花の「夏つばき」。それでも、自然の中で、大きな花を開き、のびのびと育っている風情に心を打たれます。
見頃と和尚
「夏つばき」の見頃は6月頃。
「ドウダンツツジの見頃」は11月中旬。
現在、閑栖和尚は現役を引退されていますが、写真でも動画でも、撮られるのも撮るのも大好きな和尚で、サービス精神が旺盛なので、お願いすれば一緒に写真に納まってくれます。
また、ご子息で現住職の宗純和尚(そうじゅん)や奥様もとても親しみやすく明るい方ですので、ますますほっこりとした安国寺の拝観を楽しむことができるでしょう。
なお、安国寺は、観光寺院ではなく禅寺のため、公開時であってもマナーを守って拝観をお願いします。