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冬の味覚の王様【津居山かに】

日本海の冬の味覚といえば、やっぱりズワイガニ。但馬地方では雄ガニを「松葉ガニ」、または水揚げされる漁港の名前を掲げて、津居山港は「津居山かに」、柴山港は「柴山がに」、香住漁港は「香住港まつばがに」、浜坂漁港は「浜坂産松葉がに」と但馬地域にある4つの港ごとにブランド化された名称で親しまれています。そして、ズワイガニ漁が解禁となる11月6日から3月20日まで、この冬の味覚の王様を求めて多くの人が訪れます。

10年もの歳月をかけて成長するズワイガニ

まず、ズワイガニは水深200~600メートル、水温0~3度の光も届かないような海底に生息しています。幼生→稚ガニ→親ガニへと成長し、幼生が親ガニになるまでには10回以上も脱皮を繰り返し、親ガニになるまで8~10年の歳月がかかるとか。親ガニになってからも2~3回の脱皮を行い、寿命は15年程度と言われています。つまり、ズワイガニがふ化してから市場に出るまで約10年がかかっているということです。また、ズワイガニは雄と雌とで大きさが随分と違い、雌は地域によってセコ、セイコ、コッペ、香箱などと呼び名が異なります。雌も雄と同様に8~10年の歳月をかけて10回以上の脱皮を繰り返した後に卵巣が徐々に発達し、成熟すると産卵が可能になります。ズワイガニの産卵時期は8月~11月と2月~3月頃の年に2回で、生涯に5~6回程度の産卵を行い寿命となるそうです。ちなみに、資源保護の為に雌の漁期は厳しく制限され、11月6日から12月31日までと決められていて、それ以外の時期には水揚げがありません。

漁師自らつける青タグが「津居山かに」の証

「津居山かに」とは、城崎温泉から車で約10分のところにある「津居山港」で水揚げされるズワイガニのことを指します。その証は津居山かにに付けられた「青いタグ」で、このタグは津居山かにとしての確かな品質をもつズワイガニを大きさ、身の詰まり具合、形や固さなどの基準に沿って厳しく選別し、漁師自らの手で付けられます。漁船名も入っているタグは関係者以外入手できず、一度つけるとハサミなどで切るまでとれません。津居山港から約50km(約2時間半程度)沖合の場所に漁場があり、漁は日帰り操業が中心。津居山港に所属している漁船はすべて冷水機能のある水槽を備えており、鮮度の高さが自慢です。

津居山かには地元でお得に味わおう

ズワイガニ漁が行われる期間は「カニシーズン」と呼ばれ、市内の旅館や民宿、飲食店などさまざまな場所で津居山かにを味わうことができます。鮮度が自慢だからこそのカニ刺し(カニの刺身)、甲羅が焼ける匂いが香ばしい焼きガニ、プリプリの身がたまらない茹でガニ、そして最後の雑炊まで丸ごとカニを味わい尽くすカニすき(鍋)、そして濃厚なカニ味噌……など、調理法でそれぞれに異なる美味しさに感動すると同時に、どんなに仲良しの人と一緒に食べたとしても食べるのに必死で思わず無言になってしまうのが何よりの特長かもしれません。
津居山港では、一番最初の競り(初競り)で1杯(匹)約9万円ほどの高値がつきます。12月上旬~1月は品薄で価格が高騰しやすいので、比較的価格が安定する11月中旬~11月下旬が狙い目です。ぜひ本場で新鮮な津居山かにをお楽しみください。

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