江戸時代から町を見守り続ける出石城跡や酒蔵、日本で2番目に古い辰鼓楼、
近畿最古の芝居小屋である出石永楽館……。
江戸時代、明治時代、大正時代と様々な時代の歴史や文化を感じられる場所が
数多くある出石の町並みは、国の重要伝統的建造物群保存地区に選定されています。
ふと路地を曲がれば、まるで時代ごとどこかに迷い込んだみたいな気分になれる、
そんなノスタルジックな路地散策は、出石の旅の醍醐味です。
江戸時代中期、お国替えにより藩主となった信州上田の仙谷氏と供に信州から来た
そば職人の技法が在来のそば打ちの技術と融合し、出石そばが誕生。
そして、出石焼きが登場すると白地の小皿に盛る現在の様式が確立されました。
町には約40軒ものそば屋が並び、多くの人が蕎麦を求めて訪れます。
通常一人前5皿で供され、薬味は玉子・とろろ・ネギ・大根おろし・わさびなど。
まずはつゆで味わい、食べ進めながら様々な味の変化を楽しみましょう。
明治時代に建てられた出石永楽館は、近畿地方に現存する最古の芝居小屋です。
歌舞伎や寄席からはじまって時代の変遷とともに映画上映が中心となり、
その後に閉館しましたが、44年の時を経て出石の人々の熱い想いが実り復興しました。
今は出石の一大イベントとなった永楽館歌舞伎や寄席、さまざまな舞台公演がかけられ、
永楽館歌舞伎では約4万人のもの人が訪れます。
また。興行の無い日は一般公開され見学が可能で、廻り舞台、奈落、花道といった
貴重な劇場機構を見て回ることができ舞台芸術の裏側を存分に楽しめます。
「古事記」や「日本書紀」にも名前が登場するほど、古い歴史を持つ出石町。
室町時代には守護大名・山名一族の拠点となり、但馬地方の中心として繁栄しました。
出石城の築城とともに城下町が整備され、現在もその面影を色濃く残しています。
町歩きとともに史跡を巡れば、さまざまな時代を感じられる「但馬の小京都」。
歴史と文化に触れながら、ゆっくりと散策を楽しんでください。
出石焼のはじまりは垂仁天皇時代まで遡ると言われますが、
現在の出石焼に直接結びつく成り立ちは、江戸時代後期に伊豆屋弥左衛門が土焼窯を
開設したことが起源となっており、現在は4軒の窯元がその伝統を受け継いでいます。
陶工の磨かれた技が生み出す絹のような風合いと繊細な白磁彫刻が出石焼の特長で
昭和55年(1980)には、国の伝統的工芸品に指定されています。