歴史文化を感じる

お菓子の神様【中嶋神社】

お菓子の神社といわれる中嶋神社。なぜ豊岡市に、お菓子の神社があるのか?その歴史と豊岡スイーツの今をご紹介します!

お菓子の神様をおまつりする神社

全国から和菓子や洋菓子の職人さんがお詣りする、お菓子の神様を祀った神社が豊岡市にはあります。

地元・豊岡のお菓子屋さんはもちろん、全国の大手有名製菓メーカーや京都の老舗和菓子店さんもお詣りされます。

学問の神様や商売繁盛の神様など、日本各地には様々な神様を祀った神社があるなか、豊岡には全国的にも珍しい「お菓子」の神様を祀った神社があるのです。

菓祖 中嶋神社(かそ なかしまじんじゃ)

お菓子の祖「田道間守命(たじまもりのみこと)」を主祭神としています。

お菓子と聞くとついついケーキやクッキー、どら焼きなどを想像してしまい「お菓子の神様というのはどういうことなんだろう?」と疑問が浮かびます。では、お菓子の祖・田道間守命はどんな人だったのでしょう?

田道間守命、不老長寿の果物を探す旅

『日本書紀』によると常世の国より最上の菓子をもたらしたと伝えられるのが、ここ豊岡生まれの「田道間守命」です。

田道間守が時の帝の命を受け、不老長寿をかなえる「非時香菓(ときじくのかぐのこのみ)」を求めて、はるか常世の国を10年旅した果てに持ち帰ったところ、すでに帝はこの世を去っており、田道間守は悲しみのあまり息を引き取ったというお話です。田道間守が持ち帰った果物は、かんきつの一種である「橘」で、小ぶりな黄色い実から甘い香りが広がります。

菓子はもともと果物をあらわした言葉であることから、7世紀初頭にはふるさとである豊岡に田道間守を菓祖とする神社が作られました。

和食の会席料理、コース料理の最後に、果物が出てくることがよくあります。これを水菓子とよぶのは、果物やフルーツが菓子(果子)として呼ばれていた名残です。

つまり、菓子はもともと果物を意味していましたが、現代のお菓子とだんだん区別されるようになり、最上の果物と好まれた橘を持ち帰った田道間守命は菓子を司る神様として崇敬されるようになったようです。

そのため、田道間守命は現代でお菓子や柑橘の祖神として祀られています。

中嶋神社の神事 菓子祭例祭(橘菓祭)

中嶋神社では毎年、田道間守命の命日に近い4月の第3日曜日に神事があり、各地から製菓関係者が訪れ、御献菓を奉納します。

田道間守命のご神徳に感謝が捧げられると共に、菓業発展・招福等が祈願され、 また、豊岡市立神美小学校児童による文部省唱歌「田道間守」の歌唱奉納も行われます。

菓子祭例祭の前日には「菓子祭前日祭」として、JR豊岡駅すぐ「豊岡駅通商店街・大開通り」で2011年からイベントが行われています。通りが歩行者天国になり、市内外から多くの菓子店が出店します。例年2万5千人を超える来場者が訪れ、周辺の店舗でも特別メニューが販売されたりと、まちを挙げての一大イベントです。この「菓子祭前日祭」は2023年に第11回が開催され、ついにファイナルを迎えることになります。

お菓子のまちとして取り組む豊岡

「こうのとり育む農法」として無農薬のお米や有機栽培の野菜や果物作りにも力を入れている豊岡市。豊岡スイーツの中にもこれらの素材を使ったお菓子があり、菓子店やカフェなどのスイーツマップも用意されています。

めずらしいお菓子の神様、田道間守の中嶋神社。

ぜひ願いの誓いをたてに神社にお参りして、豊岡のスイーツをめぐってみて。

全国にある菓祖神社

田道間守命を祀る神社は全国各地にあります

こちらもぜひめぐってみてください!

  • 京都府京都市左京区 吉田神社・菓祖神社
  • 愛媛県松山市道後温泉 湯神社(中嶋神社四国分社)
  • 福岡県・太宰府天満宮 菓祖中島神社(中嶋神社九州分社)
  • 和歌山県海南市 橘本神社(田道間守命を祀る)

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