歴史文化を感じる

むかしの竹野にタイムスリップ!【竹野川湊館(御用地館)】

300年以上の歴史を持つ庄屋屋敷・住吉屋を復元した歴史資料館。地元では昔ながらの呼び名をとって「御用地館」(おようじかん)と呼ばれています。館内には、北前船や川湊に関する資料を展示しており、かな書道の重鎮として活躍した仲田光成の記念館も併設しています。

住吉屋とは?

住吉屋は江戸時代から続く旧家で、庄屋(名主)や戸長などを受け継いできました。

「住吉」の名は1615年の大坂夏の陣の後に、住吉大社の関係者ないしは周辺の人々が移り住んだことから、その名称になったとされています。その後、幕末から明治中期まで「廻船業」を営み、北前船「栄寿丸(榮壽丸)」「栄宝丸(栄寶丸)」の船主として、大きな財力を成しました。住吉屋は歴史上の偉人との関わりもあり、文化3年(1806)に伊能忠敬が全国測量の際にこの地を訪れた際に宿泊しました。また翌年には寛政の三博士の一人、儒学者の柴野栗山が訪れて「睨満」という書を残しています。

 

土蔵には、当時の北前船の活気がわかる船主の証明のための鑑札箱や行き来するための往来箱、荷物の売買に使われた売買仕切帳、大福帳、棒秤などが展示されています。10代当主永田萬蔵が家督を相続した明治10年(1877)頃からは北前船の代わりに、酒造り、郵便局、鉱山、製罐所などを営み、竹野の発展に大きく貢献しました。

現在の住吉屋は歴史資料館として2002年に旧竹野町が整備し、地元の会で運営されています。

ひな祭りの時期に撮影。明治時代・大正時代のひな人形も。

古き良き日本の年中行事を感じる。

入り口を開けると右手に「田」の字型の立派な和室があります。この和室では日本の伝統行事にちなんだ展示が不定期で行われています。(竹野は旧暦で行事が行われるため、だいたい1ヶ月遅れとなります。)

竹野では古いものを大切にしている人も多く、都会では残されていない、貴重なものもあります。その他、地元の人が作った手芸の展示なども合わせて行われており、歴史を感じつつ、手作りのほっこり感も味わえます。

知らなかった竹野が見つかる!2つのギャラリースペース。

竹野川湊館には白壁の背景が特徴のオープンギャラリーと土蔵ギャラリーがあります。

ふらっと行っても大丈夫ですし、もし気になる写真やわからないことがあったら、館内の人に聞けば、丁寧に説明してくれます。

 

・白壁のオープンギャラリー

竹野浜や猫崎半島(賀嶋山)の変遷、昔の生活様式、水害の悲惨さ、大雪の大変さ、道路や鉄道などインフラ整備の記録など、竹野の歴史を物語る貴重な写真や絵画が数十点展示してあり、竹野の風土や発展に興味がある人はもちろん、初めて竹野に来た人でも楽しめます。

・土蔵ギャラリー(有料)

住吉屋で使われていた江戸時代の民具の他、北前船の時代から現在までの竹野の歴史年表や住吉屋の歴史が展示されています。また、「川湊」の説明もありますので、北前船と竹野の歴史を知りたい方は、北前館と合わせて行ってみると知識が深まります。

まるで竹野の海。透明優雅な仲田光成のかな書。

仲田光成は明治32年(1899)、竹野町松本で生まれました。

近代かな書道の第一人者である尾上柴舟に師事し、かな書道一筋に励み、若くして古典を究め、独自の大字かなを確立。また、平安古筆を受け継ぎながら「仲田流」と称される竹野の海のような清澄なかな書美で一時代を築きました。

永年、学習院に勤務し、皇室の方々のご指導もされました。

仲田光成記念館では、仲田光成から250点に及ぶ自書の寄贈を受け、展示しています。

「竹野川湊館」(御用地館)では竹野の歴史・伝統・文化を感じられる展示がたくさんあります。入り口の重厚感とは裏腹に一歩足をふみ入れた土間では地元の人があたたかく迎えてくださるので、ぜひ足を運んでみてください。

「歴史文化を感じる」スポットの楽しみ方

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