赤の鳥居に勝る?黄色のじゅうたん
諸杉神社は出石城跡の隣にひっそりと佇む神社です。
城下町の賑わいが全く気にならない閑静なこの神社は、深緑が本殿を包み込み、厳かな雰囲気を醸し出します。また境内にあるイチョウの木が印象的で、紅葉シーズンには黄色いじゅうたんが一面に広がります。フォトジェニックな写真が撮れるおすすめ穴場スポットです。
御祭神は但馬の開祖:天日槍(あめのひぼこ)の末裔
天日槍の嫡子 多遲摩母呂須玖神(たじまもろすくのかみ)が諸杉神社の御祭神で、社名の「諸杉」はこの「母呂須玖」に由来すると言われています。古事記では「多遲摩母呂須玖」、日本書記には「但馬諸助」と記されています。創建は不詳ですが、古事記や日本書記にも表記されているため古くから鎮座しているものと思われます。
天正2年(1574)に、山名氏が比隅山(このすみやま)から出石有子山に居城を移すにあたり、諸杉神社も出石町水上(むながい)から現在地に移りました。
諸杉神社は有子山山頂に天守を設けた有子山城、その後有子山の麓に移した出石城の歴代城主(山名氏、小出氏、松平氏、仙谷氏)に厚く信仰されました。仙谷氏が城主の時代には、出石で年始を過ごす時は必ず自ら参拝し、参勤交代の時は帰城の年早々に必ず参拝されたとか。
出石城跡、有子山稲荷神社に訪れる途中に案内があるので、お見逃しなく!
出石秋まつり「喧嘩だんじり」
諸杉神社の例祭は10月中旬。かつては10月15日に行われていましたが、現在は10月15日の前の日曜日(ただし、10月16日が日曜日の場合のみ10月16日)に行われます。例祭の日には、諸杉神社と出石町下谷にある「石部(いそべ)神社」、愛宕の火祭りで有名な出石町中村の「伊福部(いふくべ)神社」の3社の氏子とともに11基(2022年現在)のだんじりが出石城跡の前でぶつけ合う「喧嘩だんじり」が行われています。
諸杉神社の総代さんによると「元々は諸杉神社の創建地の水上地域にお神輿を送り届ける守役として氏子のだんじりが巡行していた。今でも、創建地とされる水上地域は諸杉神社の氏子の関係にあり、祭礼では水上までの神輿渡御が行われている」とのこと。
それぞれの神社の神輿の守役のだんじりが巡行する道中で、かち合い小競り合いしていたものが、時代とともに姿を変え、現在の「喧嘩だんじり」となったのですね。