まるで迷路?路地からのぞく海に興奮
竹野浜一帯の路地は、一歩足を踏み入れるとまるで迷路に迷い込んだかのように細く入り組んでいます。この先は竹野浜が見えると思いきや、あれ?路地が続く、次の角はどうかと歩みを進めるたびにキョロキョロ。一方で始めて来た場所とは思えない、どこか懐かしいような郷愁も感じる町並みです。
この入り組んだ路地は冬の季節風を弱めるための工夫でもあります。路地の交わる場所には、井戸の跡も残っており、かつては井戸水を汲みに集まって話をする、井戸端会議の場所だったことが感じられます。
炭の残る黒い外壁
町並みを見ると、多くの家の外壁が焼けて炭の付いた杉板で覆われていることに気が付きます。これは「焼杉板」と呼ばれる伝統的な工法です。
波風の強い竹野の海沿いの集落では、家の外壁に焼杉板が多く使われています。どこか懐かしさを感じるのはこの焼杉板の壁も要因の一つかもしれません。
家を守る先人の知恵
冬の日本海側は西から吹く季節風が強く、波しぶきや砂が家々に打ち付けられます。その塩害や砂から家を守り長持ちさせるために焼杉板は非常に重宝されています。焼杉板の貼られる向きにも特徴があり、大抵の家は横向きに焼杉板が貼られています。この理由は外壁の下部に貼られた焼杉板は、風雨によって上部よりも腐食しやすいため、張り替えがしやすいようにするためです。
また、風の強い海岸部の家の上部には棟石と呼ばれる石が置かれています。これは強い季節風によって屋根瓦が飛ばされないようにするためのもので、こちらも日本海に面した地域特有のものです。
知る人ぞ知る!幻想的な風景
晴れた日には路地からのぞく青い海が美しく、また雪の降った日には幻想的な町並みが広がり、季節や時間で様々な美しい光景を目にすることができます。
竹野を訪れた際には、少し時間を使って焼杉板の迷路に迷い込んで緩やかな時間を過ごしてみてはいかがでしょうか。