豊岡旅幸、 その「始まり」と、 「これから」。 豊岡旅幸券座談会

豊岡の多彩な魅力と出会い、
楽しむ入り口となる豊岡旅幸券。
発行当初から県内外の多くの皆さんに親しまれ、
豊岡の自然の中で、
街の中でさまざまに活用していただいています。

少し変わったネーミング。
旅行クーポンとしては異色なデザインの券面。
当時、どのような思いがあり、何を目指してきたのか。
豊岡旅幸券誕生時のキーマンとなった3名と、
その思いを体現したクリエイターの方に
お話を聞きました。

  • 当時豊岡市役所大交流課 課長
    現コウノトリ共生課課長
    宮垣 均

    当時豊岡市役所大交流課 課長 現コウノトリ共生課課長 宮垣 均
  • 当時 豊岡市役所大交流課 課長補佐
    現(一社)豊岡観光イノベーション事業本部次長
    川角洋祐

    当時 豊岡市役所大交流課 課長補佐 現(一社)豊岡観光イノベーション事業本部次長 川角洋祐
  • 当時 豊岡市役所大交流課 主査 
    現(一社)豊岡観光イノベーション経営企画グループ長
    佐野祥子

  • ツバメヤ株式会社 アートディレクター小林建二郎さん

「観光」から「人の関わり合い」へ

—— 豊岡旅幸券を開発した皆さんの、当時の所属先「大交流課」。
一般的にはちょっと聞き馴染みがない名前です。

川角

そうですよね。もともとは観光課でしたが、単純に観光地として豊岡を楽しんでいただくだけではなく、幅広く観光を捉えて交流の渦、人のつながりを作っていこうということで、2013年に「大交流課」という名前になったのです。当時、豊岡市が掲げた「大交流ビジョン」という取り組みを具現化していく部署のひとつという立ち位置でした。

宮垣

ヒト、モノ、情報がさかんに交流する地域づくりを目指す部署です。豊岡を訪れる人同士、豊岡の人同士も交わる大きな関わり合いを目指して「大」と付けられたようです。豊岡旅幸券を作るまでの10年の間、インバウンドを受け入れるための整備や豊岡演劇祭の開催、ほかにも「芸術文化観光専門職大学」を作るなど、さまざまな視点から交流人口を増やす取り組みがありました。

佐野

街を歩いていると、外国人観光客の皆さんがすごく増えたことを実感しますね。2014年に城崎国際アートセンターができてから、長期滞在する外国人も増えました。10年前には、考えられなかったことですよ。

目指したのは、みんなの幸せをつむぐクーポン

—— 豊岡旅幸券を開発した皆さんの、当時の所属先「大交流課」。
一般的にはちょっと聞き馴染みがない名前です。

宮垣

当時、市で「シナジープロジェクト」という取り組みがあったんです。第一弾は、ふるさと納税に豊岡かばんを活用していこうというもの。そして第2弾として持ち上がったのが、宿泊や観光、飲食に使える旅行クーポンでした。当時、コロナ禍の影響が落ち着いてきた時期でもあったので、「地域経済をここから建て直していこう」という意識も強くありました。

川角

まずは、使用期限を3年間と長めに設定したのは、特徴のひとつですね。最近でこそ期限の長いクーポンが増えましたが、当時、クーポンの使用期限の主流は1年。短いところは3ヶ月もあった。

——トレンドに突っ込んでいく、ということは一方でライバルが多いということでもありますよね。どんな工夫をされましたか?

佐野

コロナ禍後半から、国による「Go to トラベル」の旅行支援が始まり、クーポンを使って各地を旅行するっていうトレンドがあったじゃないですか。旅行を取り扱う大手のECサイトも、たくさんポイントがつく制度を売りにして、旅行商品を販売していた時期です。

宮垣

3年なら、例えば3万円ふるさと納税で払って1万円の旅行券をもらうとするじゃないですか。それを3年繰り返せば3万円のクーポンが手に入る。小口でも貯めていけば3年後に旅行に行けるというね。そういうのって嬉しいんじゃないかなって。また、プレゼントとしても活用してもらえれば、という思いがありました。
豊岡を旅する時間を、大切な人に贈ってもらうきっかけになればいいな、と。そう考えた時、あまり期限が短いのも使いづらいですからね。

佐野

現時点、豊岡市で使えるクーポンの中で、一番使用期限が長いのは豊岡旅幸券です。一つひとつ店舗を回って、参加をお願いした甲斐もあり、使用できる店舗や施設も一番多いようですね。
取り扱ってくれるお店にとっても不便のないよう、お客さんが店頭で使用したクーポンは、早く換金できる仕組みを作りました。余談ですが、加盟していないお店に、お客さんが「使えますか」って、持ってきちゃうということが結構あったようですよ。それだけ、豊岡ならどこでも使えるものと認知され始めているようで嬉しいですね。

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