心を落ち着かせ、時間を忘れさせる石庭
極楽寺の見所は枯山水式石庭「清閑庭(せいかんてい)」です。
山門からの眺め、本堂を背にしての眺め、それぞれで趣が異なります。さまざまな角度や場所からあなたのお気に入りを見つけ、自然に逆らわずに水の流れに身を任せるような気持ちで眺めてみましょう。
水のない庭に石や白砂を用いて水の流れを表現する「枯山水」。石庭と言えば京都の龍安寺が有名ですが、極楽寺の石庭「清閑庭」も無の境地を目指す禅の世界観を表し、とても趣があります。参道を境に白と黒のコントラストを持ち、黒砂部分は吉野の青石が配置され、中の白砂は「心」の字を、苔山は大海に浮かぶ亀島、鶴島、三尊仏をかたどっています。
時間を忘れて静かに眺めていると、何かを優しく語りかけてくるよう。禅の無言の説法をお聴きください。
独鈷水とは?
極楽寺を訪れる際に格式高い楼門形式の山門をくぐります。この元禄年間(18世紀の初め)に建立された山門は、明治の本堂焼失時も延焼を免れ、また大正14年(1925)の北但大震災の延焼も免れた建物の一つです。
山門をくぐってすぐの石庭の隅には、つくばいが置かれています。このつくばいから流れ出ているのが「独鈷水(どっこすい)」です。「独鈷水」は極楽寺の裏の墓地を通り過ぎた岩陰から湧き出ている清水で、無病長寿の水と言われています(湧き出た清水をつくばいまで引っ張ってきています)。
1300年前、道智上人が病気の人々を救うため、一千日の”行“の末に温泉が湧き出たことが城崎温泉の起源とされています。道智上人がこの”行”を続けていたときに手にされていたのが独鈷(仏さまが手にしている金属製の仏具)で、この独鈷で壁をつついて得られた清水ということで「独鈷水」と呼ばれるようになったそうです。
静寂の中、聞こえてくるのは!?
極楽寺のご住職は隣接する「城崎こども園」の園長先生でもあります。この園に通うこども達は極楽寺で坐禅を行い、心身の安定を図ります。
温泉街からは少し離れていることもあり、とても静かな寺院ですが、時々こども達の元気な声も聞こえてきます。観光地でありながら、生活の場でもある城崎温泉街の面白い所の一つです。
また先代ご住職の人柄も人気で、坐禅体験(要問合せ)もできます。外国からの観光客も禅と抹茶・和菓子をいただきながら、和尚さんとの会話を楽しんできました。禅のみならず、お茶の作法、茶器の金継ぎなど、日本の伝統文化に触れ、心地よい時間を過ごすことができます。
由緒は?
極楽寺は臨済宗大徳寺派の禅寺、本尊は阿弥陀如来です。
応永(1394-1427)の頃に、金山明昶(きんざんみょうちょう)と呼ばれる禅師が創設したと伝えられています。その後はしばらく衰退の時期が続きましたが、江戸時代に沢庵宗彭(たくあんそうほう)により再興されました。
なお、沢庵和尚はここ但馬出身で京都・大徳寺の住職をつとめた名僧で、お漬物「たくわん」の名前の由来とも言われています。
残念ながら、明治45年(1912)に烏がくわえて運んだ線香を草葺きの屋根に落としたことによりお寺は全焼してしまい、現在の本堂は大正10年(1921)に復元したものとなります。
敷地内には老後安楽・諸願成就を祈念する「楽寿観音」、一人一芸必ず成就されるという大弁財天をお祀りしている「弁天堂」のほか、一星地蔵尊、鳳観音、水掛ケ地蔵尊も祀られています。
山門の横にある黒板をチェック!
山門の横にある黒板前で、一旦立ち止まってください。
その時々で様々な言葉が書かれています。時にはとても印象深い言葉であったり、なるほど!と思わせる言葉であったり。
「次はどんな言葉が書かれているだろう?」と楽しみになってきます。
地元の方々のみならず、観光客の皆さんの心にも残る言葉かもしれません。訪れた際には、この黒板もぜひご覧ください!