旅先でのレンタサイクル、なんだかワクワクしませんか。10年以上前のことですが、私は町内で見かけたこんな光景が印象に残っています。
レンタサイクルで観光する50代くらいのおじさん3人組。少年のような表情で楽しそうにやりとりする様子が、なんだかいいなぁ〜と思いました。
そんなことをふと思い出し、自転車で出石観光に出掛けてきました。
家老屋敷にレンタサイクルがあると聞き、いざ。
借りたのはママチャリとロードバイクの間のような、いたって普通の自転車。最近は電動のものも多いと思いますが、あえてそうじゃないところがいいと思うんです!
余談ですが、久々すぎる自転車の運転ってドキドキしますよね。私は以前10数年のブランクがあり、いけるのか!?と恐る恐る乗りましたが、あっさり乗れました。自転車の運転は一生忘れないと聞いたことがありますが、確かに。
せっかくなので少し足を延ばしてお気に入りの場所をめぐるコースを計画。
<出石家老屋敷 → 経王寺 → 石部神社 → 出石神社 → 帰路>
まずは出石城跡を横目に東へ。鯵山峠(あじやまとうげ)へと向かう、かつての京街道を上って行きます。
街道口にある経王寺は、江戸時代に外部からの侵入を防ぐ「砦」としての役割も担っていたとか。
塀には弓矢や鉄砲を放つ狭間(はざま)という穴が残っています。
境内に並ぶタマゴ型の置物は、陶芸家でもあるご住職が作った灯籠。明かりが灯ると一層風情があります。
春は桜の名所でもあり、地面に降り注ぐようなしだれ桜はとても見応えがあります。夜桜も素敵ですよ。
さらに東へ少し行くと、左手に石造りの鳥居があり、奥に一際大きな木があります。
太い幹、広がる豊かな枝、生命力にあふれた圧倒的な存在感。石部神社にある樹齢千年と言われる大ケヤキです。
途方もなく長い年月、町を見守ってきた温かさと威厳に満ちたご神木。ただ見上げているだけで不思議な感覚に包まれていきます。心が洗われるような場所。
お参りをすませて、次に目指すのは少し離れた出石神社。ここまでゆる〜い登り坂だったので、下りは爽快!風が心地いい。
出石神社までの最短ルート。山沿いののどかな田んぼ道を行きます。
田んぼでエサを探すコウノトリを発見。こういう距離感も自転車ならでは。青々とした稲の香りが鼻をついて、夏の訪れを感じました(この日は6月下旬)。なんだか気分は夏休み。ノスタルジーに浸りながらペダルを漕ぐうち出石神社に到着。
「古事記」や「日本書紀」にも名が残る由緒ある神社。但馬の一の宮と言われ、地元では「いっきゅうさん」と親しまれています。私も毎年初詣に訪れていますが、お正月はたくさんの参拝者で鳥居の外まで列が続きます。この日はサラリーマン風の方が熱心にお参りされていました。
拝殿を囲むように小さな社があり、子どもの頃は一社一社すべて欠かさずお参りするのが楽しみでした。
静かで苔むした境内。東側には但馬を開拓した土木の神様、天日槍命(アメノヒボコノミコト)の墓所と伝えられる禁足地が広がっています。神聖な…という言葉がしっくりくる、時の流れが別にあるような空間でした。
帰り道、昭和レトロなレストラン「ワイン」でひと休み。メニューが豊富で地元ファンに長く愛されているお店です。
特にお昼時はたくさん車が停まっていますが、その理由は…
定番のランチ!人気不動のこの4択、悩ましい〜。オーナー自ら作る自慢のコシヒカリはおかわり自由だそうです。お得!次回はぜひ。
途中、行きと同じ道で…再会!
お気に入りの餌場かな。
町のどこからでも見える山頂の有子山城跡。ふとした時、この景観に惚れ惚れすることがあります。日によって、場所によって様々な表情を見せてくれます。
今回の行程は往復で約6km。2時間ほどでめぐれます。出石はまち歩きが楽しい城下町ですが、自転車だと行動範囲や視野がグッと広がって観光ガイドにないような町の魅力に出会えるかも。春、秋、出石の風を感じながら自転車の旅を楽しんでみませんか。
◯レンタサイクル 2時間:300円 1日:600円
(問)出石家老屋敷 TEL.0796-52-3416
ちなみに…
便利なEVカーでの観光もできます。お子さま連れのファミリーにおすすめ。
◯EVレンタカー(4人乗り) 30分:1,650円〜 ※要自動車普通免許
(問)出石観光案内所 TEL.0796-52-4960