【豊岡の新定番】「豊岡ぶどう」の秘密に迫る!


兵庫県北部但馬地方では、豊かな自然と気候を活かした農業が古くから盛んです。そんな但馬の特産品として、「但馬牛」や「丹波黒大豆」、「たじまピーマン」、また朝来市の「岩津ねぎ」や養父市の「朝倉山椒」が知られています。

但馬地方の中心、ここ豊岡市でも神鍋高原のキャベツや但東のシルクコーン、コウノトリ育むお米など、様々な特産品が心を込めてつくられています。今回は、その中でも、豊岡の夏から秋にかけての新定番、「豊岡ぶどう」のおいしさの秘密に迫ります!

豊岡ぶどうとは?

豊岡ぶどう(ベリーA)の葉

「豊岡ぶどう」とは、兵庫県豊岡市で生産されているたじま農業協同組合(JAたじま)の葡萄部会によって定められた基準を満たしているぶどうです。JAたじまによると、豊岡ぶどうは、「兵庫県の『ひょうご安心ブランド』や豊岡市の『コウノトリの舞』という認証ブランドを取得し、より安全・安心で高品質なぶどうをお届けしている」ということで、市内外から高い評価を得ています。現在では、豊岡市内で46人の農家がJAたじまの葡萄部会に登録しており、一般的なぶどうよりも半分程度の農薬を使用するなど、安心安全でおいしいぶどうの生産に取り組まれています。

「豊岡ぶどう」は、8月から10月にかけて収穫されており、9月前半が出荷のピークとなっています。 「豊岡ぶどう」として生産されるぶどうの種類は、ピオーネ、藤稔(ふじみのり)、デラウェア、ベリーA、シャインマスカット・・・など多くありますが、最も生産されているのはピオーネという品種です。

今回の取材に協力してくれた農家さん

今回、「豊岡ぶどう」の秘密に迫るためにお話を聞いたのは、JAたじま葡萄部会の吉岡会長夫妻です。吉岡さんは、ぶどう農家の2代目で、父親の代から米農家、梨農家を経て、1970年ごろから、ぶどうの生産を始めました。現在は、従来から使用している山の斜面のぶどう畑での生産に加えて、もともと水田だった土地を改良したぶどう畑でぶどうを育てています。水はけが重要なぶどう作りを水田で始める際は、土地改良など様々な試行錯誤を繰り返し、大変な苦労があったそう!

豊岡ぶどうの特徴

(左から)ベリーA、シャインマスカット、ピオーネ、安芸クイーン

「豊岡ぶどう」の特徴と言えばなんといってもその甘味です。皮いっぱいに詰まったぶどうの実はみずみずしく、さわやかな甘さを感じます。今回、吉岡さんご夫妻が生産された「ピオーネ」、「シャインマスカット」、「ベリーA」、「安芸クイーン」の4種類を試食しましたが、それぞれ同じ「ぶどう」でありながら、違う特徴・おいしさがあったのには驚きました。

「豊岡ぶどう」の中で最も生産されている「ピオーネ」は、4種類の中で最も大粒でぶどう本来の味を最も強く感じました。近年、人気の高い「シャインマスカット」は、皮まで食べることができる強い甘さが特徴です。「ベリーA」は、さわやかな酸味が感じられ、「安芸クイーン」は、みずみずしさと甘みが実の中で層になっていると感じました。「豊岡ぶどう」といっても、いろいろなぶどうの品種が生産されていますが、共通して感じた「ぶどう」本来の味の濃さは、どこから来るのでしょうか?

豊岡ぶどうの秘密

豊岡市の気候の特徴と言えば、盆地気候による寒暖差です。昼間の温かい気温や太陽の光によってぶどうの中に蓄えた栄養と糖分が夜の間に気温が下がることで使われずに蓄え続けられることで、甘みがさらに増します。

また、豊岡市を縦断する円山川は、ぶどう作りに大切な「水」を豊富に供給しています。ぶどう作りでは、土地の排水性が非常に重要ですが、吉岡さんは、もともと水田として使われていた土地を改良し、排水性を高める努力をすることで、ぶどう作りに適した日当たりの良い豊かな土地を作ったとのことでした。

また、吉岡さんのぶどう園では、ぶどうの品質の高さを継続するために、10~15年で収穫量がピークを迎えるぶどうの木の植え替えを、植えられてから30年以上経過したものを対象に実施しています。また、品種ごとに面積当たりの収穫量を調整するなど、様々な取り組みを行うことで、ぶどうの品質を一定に保っています。

そのような取り組みは、各農家で単独で行っているものではありません。JAたじま葡萄部会内で情報共有を行って、部会に所属する農家全員で「豊岡ぶどう」の品質の向上及びブランドの周知を目指して様々な努力を続けています。

豊岡ぶどうを食べてみよう

豊岡ぶどうは、JAたじまのファーマーズマーケット「たじまんま」や地元スーパーで購入することができます。「たじまんま」には、朝採れたぶどうを農家さんが直接運んでいますので、最も新鮮だとか。農家さんによっては直接販売しているところもありますので、調べてみてくださいね!

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