歴史文化を感じる

沢庵(たくあん)和尚ゆかりの寺【宗鏡寺】

円覚山宗鏡寺(すきょうじ)は、1392年出石城主である山名陸奥守氏清公によって創建されましたが、山名氏の滅亡とともに荒廃していました。1616年、当時の城主小出吉英公の援助のもと、沢庵和尚によって再興され、現在に至ります。
寺の名は氏清公の法名「宗鏡寺殿」に由来するとされており、別名「沢庵寺」とも呼ばれ今も昔も親しまれています。

城の鬼門に位置する出石の見守り役

およそ40件のそば店が集まり、軒先を行き交う人々のざわめきのやまない賑やかな城下町から少し離れると、入佐山の裾野からまっすぐに伸びた参道の先に重厚な山門が目に入ります。
当寺院は出石?城から見て北東、邪気が入ってくると云われる鬼門の方角に建てられており、歴代の城主が永眠する場所でもあります。沢庵和尚のお墓もここにあります。町を護るための役割を兼ねた場所であり、ここから町を眺めて平和を祈祷するのが仕事の一部ですと、現住職は語ります。

四季おりおりの自然を感じる境内

宗鏡寺を訪れたら、本殿だけでなく、裏手に広がる庭に是非足を運んでみてください。高木や低木がひしめきあうように庭全体を縁取り、重なる枝葉が作り出した木陰の足下には、苔むした一面緑の絨毯が広がります。紅葉の季節は朱に橙に葉を染めた木々が緑の絨毯との鮮烈なコントラストを生み出します。全てが雪に覆われる冬には、庭を歩くことは難しいですが本殿内から見る中庭は、白すぎると言われる出石焼の白磁に劣らぬ白さで、凛として清らかな空気を引き立てます。日常の喧騒から離れ、ゆっくり心静かに自分と向き合う、そんな時間を過ごせる場所です。

200年ごとの改修工事

宗鏡寺では2023年現在、裏手の庭を見渡せる渡り廊下を建築しています。
解体も足場組みも、現住職と地元の大工さん達で行っており、その解体の際に200年前に修繕をした形跡が見つかったそうです。寺院が再興されたのがおよそ400年前、前回の修繕からまた200年経った現在、廊下の建築を行っていることも不思議な縁のように感じられます。
たった1本の釘でも、錆を落とし細くなったものを別の場所に再利用する。壁土をはがし、腐らせてまた使う、足りない木材は山から伐ってくる・・・循環する素材でメンテナンスを行い、次の200年へ繋いでいきます。現住職は、200年前と同様に、協力をしてくれた方々の名前を床下や天井裏に墨で記しているのだとか。もしかしたらあなたの名前が200年後に発見される事があるかもしれません。

地元の子どもたちとの「たくあんづくり」

毎年11月には、地元の小学生と農業高校の生徒と共にたくあん漬けにする大根を寺院の蔵の前にみんなで干します。これは現住職が宗鏡寺に来た翌年から続けている交流のひとつ。今では当時小学生だった子が高校生になって手伝いに来てくれるのだとか。

ユーモラスな所作に思わずクスッとなる「大根戯画」

擬人化された大根たちがたくあんづくりを手伝っていたり、なんと博打をしていたり(!)
何人(何本?)も描かれた愛嬌たっぷりの大根たち。見れば見るほど楽しい発見のあるふすま絵「大根戯画」。
通常は庫裡(くり)のふすまとなっていて、参詣者の目に触れることはありませんが、期間限定で本堂のふすまと入れ替えるため、タイミングが良ければ見ることができます。

 

 

また、宗鏡寺の御朱印帳はふすまと同じ「大根戯画」になっているので、実際にふすま絵を見られなくても、ミニチュアサイズを自分のものにすることができます。
御朱印そのものも大胆で愛らしいデザインなので、参詣の思い出にぜひどうぞ。

「歴史文化を感じる」スポットの楽しみ方